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モリの洞窟

モリエールの妄想の洞窟へようこそ

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天使ちゃんの小説の続きですv

短めでありますが、気になるところでキリよく終えてみたり←悪

お邪魔にならないよう折りたたんでおきます。

リンクにある『小説「天使が生まれる日」』の方が、前の話から読み返すときには見やすいのでおすすめですv

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勢いのあるうちに妄想を書き綴れ!

ということで今度のはちょっと短いですが、キリのいいところまで書きました。

少し色々なグロい表現の箇所がありますので、苦手な方はご注意下さい。

タルチさん、ねふぁさんに背中を押されて、何とか仕上がりました。

ありがとうございます~v

※この小説をはじめから読んでみたいという希少なお方には、サイドのリンクにある『小説「天使が生まれる日」』をお勧めしますv

ブログ形式と違って読みやすいです。

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久々に書き上げました。

えーと、かなり長いので、折りたたんでおきまする。

もしも、はじめから読まれるという貴重なお方には、リンクにある『小説 天使が生まれる日』で読まれることをおすすめします。

字も大きくて読みやすいです^^



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悪魔の真下で切られた手を引っぱっていた死者たちは、悪魔が放った炎に飲まれ、無言で白い骨の体でもがいた。

炎の中で、骸骨が歯の並んだ顎を開け閉めしている。

「落ち着くんだ、お前たち。その炎でお前たちは燃えたりしない」

トントンと地面をたたく鎌の柄の音と、死神の声に、もがいていた死者たちはハッとした様子で動きを止めた。

途端に炎は消失した。

「ふうん…」

先ほどから立っていた墓碑の上に舞い降りると、悪魔は面白くなさそうに口を歪めて肩をすくめ、早口で何かを唱えた。

「じゃあ、君にも試してもらおうか」

悪魔は拳を振り上げ、そして死神に向けて振るようにして炎を放った。

両拳から流れるように飛び出し、一つになって膨らんだ炎の塊が、死神を襲う。

「むう…!」

死神は鎌で炎を切り捨てたが、炎は勢いを弱めずに死神を覆った。

「はぁう…!あっつ、あっつ…!」

「よ~く燃えてるみたいだなぁ…」

悪魔は不敵に笑い、死神は炎の中で身悶えする。

オレンジ色に燃える炎の中で、ようやく意識を集中して、死神は炎を消し去った。

鎌の柄に体重をかけ、荒く呼吸を繰り返す死神に、悪魔が小ばかにしたように微笑む。

「やっぱり効かないみたいだね」

悪魔が放つ炎は、体ではなく精神に効く。

恐怖に飲まれれば、体はダメージを受けるのだ。

攻撃にどうみてもダメージを受けた死神を、悪魔はせせら笑った。

「ちい…!生意気な口ばかり聞いていると、小僧、予定している倍は痛い目に合わせるぞ」

「予定している倍?君が?」

「その口の聞き方、気に入らないね、小僧…!」

「ふん、体が小さいからといって、上からな言い方もどうだと思うけど?年若い死神さん」

「黙れ!」

「やだね」

死神は薄い唇を歪めると、長い鎌の柄を伸ばして突いてきた。

悪魔はヒラリと空に舞う。

鴉のように黒い翼がしなやかに風をおこす。

「無理だって」

呆れたように、悪魔がつぶやいたときだ。

死神がマントの裾を翻しながら、今まで悪魔が立っていた墓碑を踏み台にして高く飛んできたのだ。

大きく振りかぶった鎌を悪魔に向けて振りさげる。

羽のある余裕で、悪魔はさらに高度を上げた。

「ジ・エンド」

「は?」

気づいた時にはすでに遅かった。

まるで鳥籠のように、墓地を囲って立っていた死人形たちがあるだけの腕を細く長く伸ばしていたのだ。

無数の腕に悪魔は捕らえられ、地面に落とされ真下にあった墓碑を砕いて押さえつけられた。

「ぬあ…っ」

落とされた痛みもすざましかったが、白い手に触れている体がまるで凍りついてしまいそうだ。

囲まれているために、悪魔が吐く息さえ、その冷気に白くなるほどである。

「ふっふ。どうだい?私のお人形さんの手触りは…?」

月を背後に従えて、死人形の間から覗き込む死神の顔はひどく満足そうに歪み、唇には冷笑をたたえていた。

「私をみくびるから、こういう目に合うんだよ。さあ、私の可愛いお人形さんたち、夜食をあげようね」

「うあ…!」

周りを囲む死人形の目と口が黄色く点滅をはじめた。

「悪魔のエネルギーは、さぞかし美味しいだろうねぇ」

急激に体の力が抜けていく。

代わりに冷たいものが体に沁み込んでくる。

悪魔の凛としていた眼差しが、次第に弱まりかろうじて薄目をあけるので精一杯となっていった。

(まずいな…。力が抜ける…)

めったにかいたことのない冷や汗が首筋を流れるのを感じた。

「…う…」

瞼が重くて、今にも意識を失いそうで、それでも悪魔は体をよじり続けた。

動きを止めたらそれきりになってしまう。

苦悶の表情でもがく様を、しばし愉快そうに見つめていた死神は、数体の死人形を退け、悪魔のまん前に立った。

虚ろな瞳をしてあえいでいる悪魔の顔を、屈むと片手で掴んで正面に据えた。

「小僧…、これに懲りて、もう手を出してくるなよ」

「…やな…こった…」

息も絶え絶えに、悪魔はかすれた声を出す。

死神は息を漏らして唇を歪めると、悪魔の頬をするどく張った。

打たれた頬は充血してほんのりと色づき、唇の端が切れて赤い血が流れはじめた。

「ほお…。赤い血が流れているのか…。面白い。どこまで人と同じなのか知りたいねぇ」

死神は悪魔に顔を寄せ、唇を染めている血の溜まりをゆっくりと舐めあげた。

「や…めろ」

「ふ~む、ちょっと成分は違うようだな」

「…キモイことすんな、このバカ…!」

死神は、懐から手帳を取り出すと、何やらメモをとり始めた。

「興味深い。なるほどね~…」

ブツブツ言いながら、サラサラと書き取っていく。

手をとめると、また悪魔の前に詰め寄った。

「…何…だよ?」

死神は鎌を死人形のひとりにもたせると、悪魔のマフラーをほどき、ハーフマントの止め具を外した。

中に着ているやわらかな白いシャツの首元を絞めている赤黒いリボンを手馴れた様子でほどいていく。

「何してんだよ…!」

力が出ない上に、白い手で押さえつけられ、悪魔は大した抵抗が出来ない。

悪魔の顔色と同じ、浅黒い皮膚の胸元が月光のもとにさらされる。


「やめ…」

「ちょっと興味あるんだよねぇ。この胸を切り裂いたら、人間と同じく心臓があるのかなって」

「な…?」

悪魔は焦点の合わない目を揺らめかした。

死神は笑みを浮かべ、手帳を出したように、また懐に手を入れた。

そして取り出された小さな小刀が、悪魔の目の前で月光を浴びて煌めいた。

 


 

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「…で、君はさ、何をしようとしてるんだい?」

あまりに何もおこらなくて、悪魔は半分あきれ返ったように死神に問うた。

このままにらみ合ってるだけでも充分時間が稼げるのであるが、あまりにも退屈すぎた。

「四の五のうるさい小僧だね。その生意気な口を今塞いでやる…!」

神経を逆撫でされたのか、死神はやや乱暴に鎌の柄でトントンと地面を打った。

「起きよ!死の床に臥すものどもよ!」

「………」

反応の無さに、死神の仮面の下に出ている薄い唇が苛立ちに歪む。

「ちっ。墓が古すぎて寝ぼけてるのか。…仕方ない」

背後でユラユラと体を揺らして、階段にきちんと二列に並んで待機している死人形を、死神は振り返る。

「さあ、可愛いお人形さんたち、にぎやかな踊りをみせておくれ」

「は…?」

悪魔が唖然と口を開く中、死神が顎をしゃくるようにして告げると、待ってましたとばかりに、死人形たちが階段をノッテ、ノッテと下りてきて、墓地の周りを囲み出した。

死人形総出で囲むと、皆、きちんと姿勢正しく、場の中心にいる悪魔を見るように並んだ。

『キャーーーーーーー』

闇夜をつんざく奇声が、墓場をぐるりと囲んだ死人形から聞こえ出した。

老若男女、様々な声がいりまじっていて凄まじい。


何かのミュージックを奏でているのか、死人形は四角い体を左右に揺らし、手を叩き、足を踏む。

ゆるくのろい動きから、次第にそれは小刻みにビートを刻んでいく。

皆そろっての動きなために、異様な雰囲気である。

「ああ…、いいよ…、素晴らしい…」

悪魔が立つ墓碑の下で、死神はまた陶酔しきった顔で、頭を揺らしていた。

リズムを足でとっているのか、死神のマントも揺れている。

「さあ、次は華麗なるタップだ。美しく、足並みを揃えるんだ」

手を高く掲げて、死人形へ次なる指示を与える。

『キャーーーーーーー』

まるでトランペットのように一斉に奇声があがる。

声は抑揚をつけて高く、低く、高く、そして、墓地を囲む死人形総出のタップダンスがはじまった。

「…うるせ~~~…」

さすがの悪魔も、このあまりの騒々しさに耳を塞ぎたくなってきた。

まぬけな様相の死人形が、大勢で歌い踊っているだけでも目障りだというのに。

続けざまのステップに、ズン、ズンと立っている墓碑まで振動してくる。

あの重さのない体にしては、たいした運動量である。

「よ~し、そろそろ踊りに参加したくなってきただろう?」

「ならないね」

死神のささやきに、悪魔はきっぱりとうんざりした声で言った。

「はっ。小僧に聞いちゃいないさ」

「?」

死神の仮面の下の口元がほころび、白い歯がこぼれた。

ああ、死神の犬歯は人と同じで長くないんだな、などと悪魔は見つめていた、その時だ。

「ジャック」

右手側にある墓碑を、死神は青白く長い人差し指で指差し、名前を読み上げた。

「踊りたくなったら、挙手だ」

死人形ではなく、死神は小さな墓を指差し、まるで人に話すように話しかけた。

「何を…?」

死神は悪魔のつぶやきを無視して、何かの声を聞き取ってるのかゆっくりとうなずく。

「もちろん、他にもお前たちすべてを招待するよ。ああ…、ローズマリー、お前の墓碑のデザインは最高に素敵だ」

死神は、今度は左側にある薔薇に囲まれた白い墓碑を見つめて言った。

その白い墓石には、他の墓石にはない美しい花の絵が彫りこんである。

「さあ…!今宵は満月。美しい月のもと、私のために踊っておくれ…!」

死神が、鎌を高く掲げる。

月の光をうけて、それは冷たく反射する。

『キャーーーーーーー』

死人形の奇声がさらに盛り上がるように音量が上がる。

繰り返しタップが打たれ、地面が振動する。

最高潮にその音量が上がった時である。

ボゴッ。

ボゴッ。

「っ!?」

周りにある墓碑の前が盛り上がり、白い骨の手が黒い土の中から突き出てきた。

「おお、いい子ばかりだ。寝てばっかりだと、退屈してただろう?今宵は軽やかに踊らせてあげよう」

墓下に永の眠りについていたはずの人々が土を押し上げ、すでに朽ちた体で起き上がってきた。

肉はすでに風化して無く、白い骨の頭には、かつて生きていた名残の毛髪をぶら下げている。

「…こんなことが君にできるとは…」

悪魔の驚きに満ちた声音に、死神は満足しきった顔で見上げた。

「ふっ、手に入る魂は限定だが、この世に置き去りになる体は我ら冥府人の支配下だ」

「さあ、準備は整った。くっくっ、」

騒がしい一団に囲まれ、悪魔は眉間にシワを浮かべて息を飲んだ。

「……アホか、コイツら…」

緊迫の数秒後、悪魔は吐き捨てるようにつぶやく。

一向に攻撃してこないのである。

まるで強張った体をほぐすように、墓場から這い出てきた骨たちは、体を揺すり、死人形が奏でている音に身を揺らすばかりであった。

騒々しいダンス会場に、場違いで呼ばれた者のように、悪魔はげんなりした顔で肩をすくめた。

「さあて、小僧。お前にも、そろそろ一緒に踊ってもらおうか」

「や、遠慮しておく」

眉をひそめ、悪魔はさも嫌そうに断りを入れた。

「ふん。遠慮は無用だよ…。何しろ小僧、お前は主賓だからねぇ」

ブン。

死神は、そう言うなり鎌を真横に振ってきた。

足を払うように飛んできた鎌を、悪魔はふわりと飛んでかわす。

「何だよ、主賓と言いながら、随分なやりようだね」

更に戻るように振ってきた鎌を、悪魔は屈んでしのぐ。

「お前が退屈そうにしているから、楽しませてあげようとしてるだけだ」

「どうだか…。はっ!?」

次なる鎌の攻撃を、ジャンプしようとした悪魔は、サイドから伸びてきた骨たちに足首を掴まれた。

「くっく、これは避けれるかな」

「ちいっ」

悪魔は胸の前で腕を勢いつけてクロスさせ、両手の鋭く伸びた爪先をさらに伸ばし、円を描くように、空気を切るように腕を振った。

足首を掴んでいた腕が、真っ二つに切れて、足首を掴む手から離れていった。

そして、黒い翼を背中に出して、死神が繰り出す鎌を飛んで避けた。

「ああ~…、腕を切り落とすなんて、ひどいヤツだな、お前は」

「ひどいヤツで結構」

悪魔は羽ばたきながら、足首についたままとなっている指を離そうとする。

だがそれは、しっかとブーツの靴に食い込んでしまっていてとれない。

「…これ外せよ、キモイから」

ただの骨だけでなく、生前からしてると思われる金の指輪が指に不気味に光っていて、気味が悪かった。

「キモイだなんて、死者を冒涜してるねぇ、許せないよねえ…、生きているものにしか興味の無い悪魔は…!」

「ふっ!?」

死神が話し終えた途端、腕を落とされた骸骨の空虚に陥没している目がピカリと光った。

足首に巻いている手が急にその骸骨たちに向かって引っぱられていく。

悪魔は力強く羽ばたく。

だが、両足を引く力は物凄いものであった。

徐々に地面へと引き寄せられていく。

「ぅっく…!」

悪魔の顔が痛みに歪む。

「ぬぅ…!」

悪魔は小声で何か早口でつぶやいた。

握った両拳を振り下げた時、灼熱の炎が下で待ち構える死者たちを襲った。
 

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