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モリの洞窟

モリエールの妄想の洞窟へようこそ

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お絵描き出来ないから、久々に天使ちゃん小説を書きました。

恐ろしいことに1月以来^^;

展開があまりにも読めすぎるかと、ネタを発酵させていたんですけど、相変わらずの痛々しい展開です。

毎回、登場人物の誰かが、痛い思いをしているという。

うーん…。

病んでるな自分と、毎回反省です。

それでも読んでやるぜ☆というお優しいお方は、下の続きから読んでくださいませv

前回、もしくははじめから読むという勇者な方には、小説家になろう『天使が生まれる日』へどうぞ^^

ここよりも読みやすいはずです。

今回更新の分は、次の話がUPできたときに、そこに投稿する予定です。

急いで書かないと(汗)


【私信めいたつぶやき】

にゅとさんへ
SAI羨ましいですかー><*
いや、でも二枚描いてそれきりペンタブが駄目になってるんで、なんか目の前に餌を置かれて待てしてる感でいっぱいです@@;
使えこなせない気がたんまりとするんですけど…^^;ガンバリマスv
私もハタと思ったらほんと普通の服絵がなかったです(失笑
上着だけでも普通の服を描くのSAIでガンバロとか思いました(笑)
にゅとさんはどんな服装もどんと来いでいいなあ//と毎日更新される絵を見て涎が出ます*^^*

ユウキさんへ
わずか三分差に笑いました!なんてニアミス!w
フィギュアスケーターⅡの動画見てましたよ!アクセス数の伸びが凄いですよね。
今日見たら、もう二倍に膨れてた@@
歌がリピートして頭から離れないんですけど(笑)


 



高く、高く。
藍色の濃淡を見せる天空を目指して、見習い天使は精一杯羽ばたいて飛んでいく。
夜明けが近づいた空には、雲が増えてきていた。
やわらかな白い雲の塊を突き破って見習い天使は飛んでいく。

高く、そしてはやく。
何としても、腕の中にいる小さな天使を失うわけにはいかない。

「…!」

するどい殺気を感じて、見習い天使は下へと目線を向けた。
黒々と広がる地上には、道路に沿ってあかりが点在している。
それとは違う光が近づいてくる。

傾いて淡くなりつつある月の光を受けて、ゆるく曲線を描く刃が青白く光った。
死神が追ってきているのだ。
それを目にして、見習い天使は恐怖を覚えた。
確実に距離が縮まってきている。

「うああ…!もっと速く、速く…!」

唇に力を入れて、意識を羽に集中させる。
無くなった力は戻ったものの、見習い天使はもともと素早い動きが出来るわけではない。
いきんでは疲れがたまるばかりで、どんどん死神の姿が距離を詰めて背後に迫ってきていた。
あせりに歯噛みしている最中、心のコンパスは、天使の国への入り口が近いことを知らせてきた。

「…!あの雲の向こう!」

分厚く広がっている雲の向こうに、館へと通じる入り口があると心が告げてくる。
その知らせに、見習い天使の口元に笑みが浮かんだ。

もうすぐだ。
もうすぐ館に戻れる。
死神が追ってきているが、このまま逃げ切れるかもしれない。

ほっと安堵した心に、上官の天使の顔が浮かんだ。
きっと会うなり怒られる。
話したいことがたくさん脳裏をよぎっていった。
でも何と話そう。
辛いこと、悲しいこと、あまりにもたくさんのことが一晩のうちにありすぎて。

星の子を失ったこと。
記憶を巡って出会った母のこと。
それらをどう話したらいいのだろう…。

胸がいっぱいになって、見習い天使は鼻をすすった。

今日はもう泣いてばかりだ。
でも、上官の天使を前に話す時、きっと自分が流す涙は喜びに満ちているはず。
星の子に託された約束を、もうすぐ果たせる。

「チビちゃん、あの大きな雲を突き抜けるよ。そしたらもうすぐ…ぬうあっ」

ズン。
思わぬ重みの到来に、見習い天使は50cmは体が下がった。
ここに来て、さらに抱えている小さな天使が重くなったのだ。
どんどん腕の中で育っていく。
ふっくらして可愛さは増すけれど、今の現状では泣きたくなる。

「ぬ~ん…、チビちゃん、おーもーい~~」
「あう!はぁう!」

大きな水色の瞳をキラキラさせて微笑んでくる。
大きくなって、一段と表情が豊かになった。
胸の奥がキュンとうずくほどの愛らしさだ。
けれど今は、かまっている気力も時間もない。

「もう少しの我慢だからね」

引き攣った笑顔で告げて、重さによろけながら、何とか分厚い雲へと突入した。
中は雨水を蓄えてるようで、ひんやりと冷たい空気に満ちていた。
この寒さは、死人形を思い出させる。
風に消えていった天使たちを思い馳せてしまう。
彼らがこれ以上苦しくないように。
穏やかで温かい日差しが彼らに注ぐように…。
そう見習い天使は心から祈った。

バッ。
雲を突き破って一際高い空へと昇った。
そこには見覚えのある景色が広がっていた。
普段過ごす雲上の高さにようやくたどり着いたのだ。
目をこらさないといけないくらい地上が遠くて、はるか遠くの空と大地が溶け合う地平線は薄ぼんやりとした明るさがあった。
そして目を上げると、更に高いところに青い光が瞬いていた。
青いランタンの光。
その清々しい光の向こうに、天使の国への入り口がある。

「見て!入り口だよっ!あとひと頑張り、うあっ!」

顔を輝かし飛び立とうとしたその時、突如足首を掴まれて、強い力で一気に雲の中へと引き込まれていった。
やっと抜けた雲の中を、荒々しく引き降ろされていく。
その激しさに、流れる雲の中、見習い天使は腕の中の小さな天使を、両手で抱きしめることで精一杯であった。

「逃がしはしない…!」

質量のある雲から出るなり、乱暴に襟元を掴まれ揺すられた。
目の前にいるのはやはり死神であった。
フードを覆って月を真後ろに暗く見えない顔の中、薄い水色の瞳だけが狩人のごとくギラついていた。
背筋までゾクゾクするような、冷たい吐息が頬にかかる。

「よくもやってくれたな…!」

顔がさらに寄せられる。
見習い天使は、死神の迫力ある恐ろしさに、必死に顔を離すべく、後ろに引こうと首に力を入れた。
逃げようともがくのが気に入らないとばかりに、グイと襟元を手繰り寄せられ、かえって互いの顔の距離が縮まった。

「…見ろ。お前のせいで…」

死神は頭を振り、深くかぶっていたフードを外した。
恐ろしさにあらぬ方向へと背けていた目を、見習い天使は恐々としながらも向けた。
淡い月の光に、死神の髪の毛が銀色に輝いていた。
冷たい輝きをとどめる細い髪に縁取られた顔には、もう覆っていた仮面はなかった。
ただれた肌はひきつり、ところどころ皮膚が破れて、生々しい血色の傷跡となっていた。
目を見張って見つめている間にも、鮮やかな血がつつと流れていく。
傷がなければかなりのハンサムなのだろう。
意外なことに、死神は、先ほど見た自分の父親ほどの年代のような若い青年の顔をしていた。
灰色で長くうねりもない髪が覆う整った顔には、常に死を生業にしている冷酷さが同居していて、不思議な雰囲気をかもしている。

「…い…、痛そう…」

思わずつぶやいたひと言に、死神の細く短めの眉が吊りあがる。
端正な顔が一気に神経質なものに変わった。

「痛いに決まってる…!」
「はわわ、ご、ごめんなさい。でも、あなただって星の子に酷いことをしたじゃない!」
「お前が傷を破ったんだぞ!この石頭め…!ここか!このやけに広い額で打ったのか!」

手にしている鎌の柄で、額をゴツゴツとぶってくる。
手加減しているようなのだが、結構痛い。
綺麗な顔立ちをしているのに、することが惨い。
顔と行動とのギャップも相まって、何をされるのか恐ろしくて、見習い天使は肩をすくめて震え上がった。

「あ、わ、痛い!やめて!やめて!」
「私はもっと痛かったんだぞ…!同じ痛みを感じるがいい…!」

見習い天使の嫌がる様子に、死神の仕打ちがさらに強さを増す。

「いや~ん、広いだけでも困ってるのに、凹んじゃう~」
「そんなの知るか!」

痛みに涙が滲み出した見習い天使の顔に気づくと、死神は唇をにやりと歪めた。

「…さあ!お前にできる償いを、この私にするんだ!」
「つ、償い?どうして?何で?」

見習い天使のとぼけた言い様に、死神の眉間に深い皺が寄って一層険しさを増した。

「お前は、おつむが足りないのか!お前の仕業でこうなってる!」

怒鳴られ、見習い天使は硬く目を瞑った。
傷だらけの顔で迫られ、表情がハッキリとわかって怖すぎるのだ。
ただでさえテンパリやすい性分なのに、たたみかけるように次々言われても困るのだ。

「虹色の雫だ。あの『癒しの涙』を出せ!」
「あっ、出せって言われても…こ、困るのっ!」
「何んで困るんだ!」

ガクガクと激しく揺すられる。
今にも舌を咬みそうな揺れに、見習い天使は必死に唇を噛みしめて耐えた。
その乱暴な揺すりに、抱えている小さな天使が泣き声を上げて泣き始めた。

「オギャーーーーーーッ」
「はっ、何だ、この騒々しさは…!」

体が大きくなった分、ボリュームが増し耳に突き刺さる不快な泣き声となったのだ。
水を打ったような静けさを好む冥界の住人には、耐え切れないほどの煩さであった。

「おい…!はやく静かにさせろ」
「あなたが泣かせたんじゃない!ほらほらチビちゃん、泣くのやめてね~」

よしよしと大粒の涙を頬に散らし、今やすっかりふくよかに成長した小さな天使をあやした。
本当に大きくなった。
ほんの数時間前には、生まれたての小さな体だったのだと、あらためて感心するほどに。
よしよしと揺するうち、不機嫌ながらも涙を透き通った瞳にためて、指をしゃぶりながらも泣くのをやめた。
静けさが戻ってきて、死神はホッとため息をつくと、再度見習い天使に顔を近づけた。

「まず傷を癒す涙だ。それを出せ」

そう言い寄られて、見習い天使は困惑した。
どう出したらいいものか、まったくわからなかった。
出す方法からして不明なのだ。
なぜあの時に不思議な光を放つ涙が出てきたのか、ただ母を救いたくて、その一心であったのだ。
切なくて、何もできない自分がもどかしくて。
母には生きていてほしい、それだけだった。
母の姿を思い出し、見習い天使は思わず涙ぐんだ。

『駄目だ。今そこに力を使わせるわけにはいかないよ』
「えっ?うあ…!」

突然頭の中に響いた男の子の声に、見習い天使は頭を激しく打たれたような衝撃を感じて、驚くと同時に痛みに呻いた。
思わず空いている手で、頭を押さえた。

「どうした!はやく涙を出すんだ!」
「うあ…、誰…?」

死神は、見習い天使の襟首をせっつくように揺すった。
耳鳴りがする頭をゆさゆさと豪快に揺すられて、見習い天使は吐き気を感じた。

「やめて、揺すんないで…!」

イラっとした心地が、胸の奥から湧いてきて、見習い天使は弱々しくも告げた。
だが、そんな頼みを聞いてくれるような死神ではなかった。

「何をグズグズしている!早くしないと首を狩るぞ…!」

あまりな言い様に、胸が焼けるような怒りを覚えた。
時間もないという現状に、押さえつけられ、自分の力量以上のことを要求されていて、もどかしさと自分へのふがいなさに、どこにも持って行きようのない苛立ちが湧いた。

『…そう、怒れ。怒っていい。怒る気持ちを死神に向けていろ』

死神には聞こえない声が、またしても頭の中でこだました。
それは聞き覚えのある声であった。
記憶にある声が思い出されて反復しているのとは違い、誰かが中に居て話している、そんな心地だった。

「あなた…誰なの?」
『オレ?はっ、わからないってありえないな。物覚えも悪いのか?』

クククとその声は笑い声を上げた。

「…え…、まさか…」
『し~…。声にしちゃ駄目だ。やっと接点ができたんだからな」

この声には聞き覚えがあると思ったのは間違いなかった。
でもなぜ、どうして?
見習い天使はそれを不思議に思いながら、笑い声や、話していることが、変に反響して気持ちが悪く、深く考えることができなかった。
目の前にいて話しているのとは違って、小さくなって頭の隙間に入り込んでいるようで、そのイメージを浮かべて吐きそうになる。

『おい、気持ち悪いのはわかるが、ゲートに入るまでしゃんとしてろよ』

それは言われるまでもなく、見習い天使は目を固く瞑ってもよおした吐き気を堪えた。
しゃんとしていたいところなのは重々わかっている。
けれど頭の中で、自分のものではない声が聞こえてくるのは耐え難い苦痛であった。

「どうした?」

冷や汗をかいて急に疲労を顔に出した見習い天使の様子に、ようやく死神が気づいて揺する手を弛めた。

『デコ。オレに抗うなよ』
「え…?」

頭の中でそう声が響いた途端、口がひどく熱をもった。
痺れたように自分のものではない感じとなっていった。

「…年若い死神さん」

自分の口から出た自分の声に、見習い天使は目を剥いた。
驚きに瞳が揺れた。
それは自分の口から発せられたものであったが、自分が言おうと言ったものではなかったからだ。
発した言葉の違和感に、対峙する死神も気がついて、細い眉を寄せすぐに不審な眼差しへと変わった。

「お前は…?」
「ふふ…、さっきはずいぶんとやってくれたよね」

見習い天使の話す口調に、死神はひそめた眉の下の目を怪訝に細めた。

「まさかお前…あの悪魔か。なぜ…、どうやって…?」
「方法は秘密だよ。さあ…、墓場での続きといこうじゃないか」

驚きと戸惑いを同居させている見習い天使の表情を無視するように、唇は勝手に動いて話を続けていく。
今まで自分の意のままに動いていた口が、まったく感覚を無くしてしまっていた。

「ふん…。その疲れきった天使を操って、この私を攻めるというのか? この天使らを、今すぐに狩ってしまってもいいんだぞ?」
「デコを狩るにも、君のその顔を直してからでないと困るんじゃないの?」
「ぬぅ…!」

冷徹にいつでも狩れるとばかりに鎌を持っている死神は、悪魔のひと言に顔をしかめた。

「このままじゃ、せっかくのハンサム顔が台無しだよねえ。でもね、オレには君の顔がどうなろうと関係ないんでね」
「…!」

見習い天使の手が勝手に伸びて、死神の鎌を持つ腕をがっしりと掴んだ。
感覚が急に無くなった手が、死神の腕を指先を食い込ませるほどに掴んでいるのを、見習い天使は怯えた眼で見つめた。
自分の体であるはずなのに、まったく動かすこともできなくなっている。
それが恐ろしかった。
死神は、掴まれた腕から手を払おうと腕を揺すった。

「…年若~い死神さんに、特別に、地上の人々の夢を贈るよ」
「人々の夢…?お前何を言って…」
「生者たちの果てない欲を味わうといい…!」

不敵に言い放ち、ニヤリと口角を上げた唇は、すうっと力が抜けた。

「は…あ…ああ…」

同時に、見習い天使自身の、苦痛の声が漏れた。
悪魔の支配が解けて、痺れが抜けたが、代わりに異質なものが満ち始めたのだ。
口の中に、熱くピリピリとした空気が急に湧き上がってきたことに、見習い天使は涙目で嗚咽を漏らした。
そして、溢れはじめたものへの恐ろしさに、体がガクガクと震えはじめた。
自分も持っている想いに、それはとても似ていた。
けれどそれはあまりにも激しく、そしていびつに歪んでいて、体に、そして精神にまで染みこんできそうなほどに淀んでいた。
朱色の唇は、青黒く内側から色が変わっていく。

「あーー!ぎゃーー!」

抱えられている小さな天使も、怯えて火がついたように泣き出した。

「怖い、いや…、やめて…!いやっ、いやっ、はあぁああああ!!」

おどろおどろした想いが、複数の人のざわめきが内側から響いてきて、たまらず見習い天使は悲鳴を上げた。
声のトーンがピークに高まったその時、開いた口から、黒い煙が立ち昇り、唖然とまばたきをするのも忘れて見つめていた死神へと向かった。
力いっぱい腕を振るって、見習い天使の手を外すと、死神は後退した。
すべての煙が見習い天使の口から出尽くすと、見習い天使の唇の色は元に戻っていった。

「な、何だ、これは…!」

吐き出された煙は消えることなく、うねるように、まるで蛇が獲物を狙うように、両目を見開いて煙を見上げている死神を前にしばし揺らぐと、一瞬にして膨らみ広がって死神を包み込んだ。

「は…あ…、がぁあああ、何だこの悪しき想いは…!!は…、やめろ、おああああ…!!」

覆いつくすと、死神の目や鼻、口、耳という体に開いているすべての穴から、その黒い煙はゆるやかに内側に入り込んでいった。
するすると質量のある動きで入り込む様を、見習い天使は放心しきった涙に揺れる視界に見つけて、背筋に寒気を感じて体を大きく震わせた。

「はああ…!やめろ…!うるさい、黙れ!うあ…っ、何だ、お前たちは、やめろっ、近づくな…!」

体に入りきらなかった黒い煙を纏いながら、死神はどこを見ているのか定かでない目つきとなり、凍りついた顔で、叫びもがきはじめた。

『同じ闇の住人と言えど、オレらが集めている人々の欲望は受け付けないみたいだな…。妬みや恨み、人の欲には底がない。しばし味わうといいよ』

また頭の中で、悪魔の面白がるような声が響いた。
言葉が響くと、キーンと頭の芯が痛くなり、見習い天使は思わず顔をしかめた。

『さあ、今のうちに行くんだ…!』
「…あ…、痛ぅ…」
『今夜はいつもの半分も集めてない。そう持たない…。行け…』
「…わ、わかった。ありがと…」

交わした悪魔の声は力のないもので、声が途絶えると、ふっと頭にかかっていたもやのような感じがなくなった。

「悪魔?」

突然頭に入り込んできた悪魔は、また突然と消えてしまっていた。
身悶えしている死神から、見習い天使は目線を上空に向けると、再度天使の国の入り口を目指して飛び上がった。
体は疲労しきっていて、翼を羽ばたかせる力はすっかり失ってしまっていて、意識しないといけないほどだ。
ふっくらとした少女のような見習い天使のつややかな顔の目の下の窪みには、不似合いな青いクマが浮かんでいた。
何もかも放り出したいほどに体は重く、抱えている小さな天使の体を支える腕も、気を弛めれば落としてしまいそうにだるかった。
けれど今を逃せば、逃げ切るチャンスを失ってしまう。
何としても夜明けまでに入り口をくぐらねば…。
空はさらに薄い色に変化してきていて、夜明けまでもう時間はないのだ。
疲れた顔に、二つの瞳だけをぎらつかせながら、厚く広がる冷たい雲の中を、見習い天使は必死に小さな天使を抱えて、歯をくいしばって飛び続けた。

 

 


 

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