モリの洞窟
モリエールの妄想の洞窟へようこそ
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犬猿の仲です(笑)
なんかしっくりきますねw
性格的に、吠えはしないんですけどね。
ということで、スラム篇が終わらないんですが、ユノーに保護された後の話をwikiにも載せてるのですが、そっちを持ってきました。
↓くわしい設定はこちらをどぞv
【戦隊・悪役企画】
つづきに記載の話は、ギザの研究施設で、ウドーと会う話と、そこでの初日の話です。
ウドー=ぎんの字さん担当
イサ=ちとさん担当
【拍手お礼】
・拍手ありがとうございましたv
【近況】
図書館から借りた(ようやく・笑)獣の奏者外伝を読破。
意外に…エサル師の背景というか若い頃からの設定が凄く細やかで、色々な事を経てカザルム来たわけですか…と。
密かにジョウンとの秘め事かと思ってたら…
いい方向に裏切られて、でも奥深くて面白かった。
線画コン、公開もう少しですね~^^*
凄く楽しみである。
動画のはじめ、ちょっとフラチなんですが、まあ…いつものモリクオリティということで…@@;
ねふぁさんのしたった~、ためしたところ、鼻が濡れている という七不思議だった…。
ごめん、鼻水ダラダラしてるよ;;
【ギザの研究施設にて】
「これからここで訓練を受けてもらう」
モネタにあるユノー社から、長い移動の末、ようやく着いた施設を前にイサがナルシスに告げた。
どうやら長の移動で車に酔ったらしいイサは、元々顔色が悪いのが、今は死人のごとき青白さだ。
車中では、なぜかイサの指示で窓を全開にしたため、せっかく整えられた髪の毛がまたごわごわになったナルシスが、はじめてみる広大な施設を怪訝そうな顔で見つめていた。
敷地が広いため、本社と違って割合低めの建物となっていた。
「瞬発力には長けているが、今のお前では訓練をこなすスタミナがないから、当分アイツの相手でもしてもらおうか」
「アイツ?」
誰を差して言っているのか、説明される前に誰かわかったナルシスである。
はじめは点でしかなかったのが、どんどんこちらに何かが向かって飛んでくる。
派手な色合いの鳥だと、はじめは思ったナルシスであったが、ありえないことに人だった。
しかもまだ子供のようである。
イサと同じくらいだろうか。
「ひゃっほ~!今日も天気いいなあ!なあなあ、イサ、飯食ってんのか?顔色悪いぜ!大丈夫か?」
まるで見えない翼があるように、ふわりと地面に着地すると、イサの肩に腕を回して、顔から肩からあちこち手でバシバシと叩く。
周りを護衛している黒服軍団は、銃器をいつでも出せるように身構えているというのに、本人は知ってるのか賑やかに笑い続ける。
一通りの挨拶を終えた赤毛の少年が、今気がついたように、低い位置にいる新顔に顔を向けた。
「誰?このちっせーの!ちっせーのが来たー!ぎゃははは、ちーいーさーいー」
ちいさいを連呼され、ナルシスはげんなりしてきた。
しかも、連呼しながら、馴れ馴れしく頭を叩くし、体を揺すってくるしで、うっとうしい有様なのだ。
こういう風にされた免疫がないため、至極苦痛であった。
「オレ、ウドーって言うんだ。お前いくつ?オレ、11歳」
ナルシスのげんなりさ加減を知らずに、ウドーは弟分ができたことに嬉々として訊ねてくる。
先日行われた身体検査で、およそ10歳~12歳という判定が出ていたナルシスだ。
スラム暮らしで粗悪な栄養状態だったために、平均を下回る小さく細い体をしていた。
「12歳にする」
11歳にしては人並み以上の体躯のウドーにめらっときて思わずそう口をついた。
「は?えっ、12歳にするって、何??」
「じゃあ、ナルシスは12歳で決定な」
ギザの強い日差しに今にも倒れそうな顔のイサが、だるそうな声で決定を後押しした。
気分の悪い時に、ウドーの大声は頭に響くのだ。
早く施設に入って、研究室のひんやりとした空気の中、ゆったり休みたいイサである。
自身が年齢を公表してないため、ナルシスが11歳であろうと、12歳であろうとかまわないのである。
軽い決定のひと言であるが、この研究施設で絶大な決定権を持つイサの発言は絶対であった。
「え?何?どういうこと??」
弟分ができたと喜んでいたウドーは、あまりにそっけない様子と、見た目間違いなく年下なのに、突如年上の12歳になった経緯が理解できずに唖然とした顔で、移動をはじめた一団を見送った。
「何それーーーー!!」
ギザの青く広い空に、ウドーの無駄に大きな声が響いた。
☆☆☆
「見ーつけた!!」
ウドーは懲りない。
新しくかまえる相手の登場に、弟分は諦めても、年がほとんど同じな遊び相手に間違いないと認定したのだ。
与えられた部屋に入って、部屋の様子を見ていたナルシスは、壊れんばかりに強化ガラスの窓に張り付いて外から中をにんまりした顔で見ているウドーをげんなりした顔で見つめた。
これから毎時やってくるのだろうか…。
窓の向こうから大声で語りかけてくるのを無視して、室内の説明をはじめたスタッフへと目を向けた。
スタッフは壁のモニターのスイッチを押した。
途端、透明な板状のモニターが現れて、それを手馴れた様子でスタッフが操作していく。
「しばらくこの日程をこなすよう、イサ様からの命令です」
「……風呂が三回も組まれてるのは?」
見ると、食事と食事の間に『風呂』と書かれている。
まだ字が読めないナルシスであったが、ユノーに保護されてから、日に何度もつれこまれてる部屋の名前だけはしっかりと覚えこんでいた。
もうかなり色が白くなったし、自分ではもうどこも臭くないと思うナルシスだ。
「…はあ…。もう決定ですからね」
「……」
思わず腕の臭いを確かめるナルシスだ。
これでもイサにはまだまだ耐え難い臭いらしい。
風呂は入ったことがない、と言った時の、イサの凍りようはハンパなかった。
とはいえ、慣れない習慣を押しつけられて、ナルシスは風呂の文字を眺めてため息をつくのであった。
☆☆☆
「いただきまーーーすっ!!」
「……」
「おい、ちゃんと食べる時には言うんだよ!」
無駄に広いダイニングで、たった2人が座るにはこれまた広いテーブルで食事がはじまった。
対極に座って、席三つ分は離れているというのに、これまたうんざりするほど声が大きいウドーだ。
「イサは?帰ってきた時くらい一緒にご飯できないの?」
「…はあ…。まだ研究があるとかで…」
「けーっ、つまんないのっ!おい、ナルシス、手づかみで食うなよ」
スタッフに文句を言ってたウドーは、ナルシスが手で食事をはじめたことに目を向いた。
乱雑な自分ですら、何とかテーブルマナーを守ってるというのに。
「これを使って食べてください」
ズイ、とセットされているフォークの真上で給仕スタッフが手で示す。
「あ、忘れてた」
「忘れんなよ!どこの出身だ、お前は」
フォークを持つとミニトマトを刺す。
つるんと逃げられて、皿どころかトレイからも離脱してしまう。
「……」
「……」
給仕のスタッフとウドーの目線が痛いほどに注ぐ。
「あ…」
突然ナルシスが2人の後方を驚いた目で見やった。
何事かと二人は思わず振り返る。
背後にはただ白い壁があるだけだ。
何もないことに傾げつつ顔を戻すと、転がったミニトマトはもうなかった。
それだけではない。まだ皿には食事があったはずなのだがそれもなかった。
唖然としてる2人を見ないように、ナルシスはすました顔で席を立ち、部屋を出て行こうとする。
「あっ!」
いやにポケットが膨らんでいて、パンがそこからはみ出していた。
「待ちなさい!そこに入れてどうするの!」
給仕が素早い動きでナルシスを追い越し、目を三角にして仁王立ちに扉を塞いだ。
「あ、後で…」
「後で食べるのは許しません!」
「……じゃあ、明日食べる分だけ戻す」
もそもそとポケットのパンを四等分してる姿に給仕が泣いた。
ウドーは何でそんなことをするのか理解できなかった。
彼が外の世界に飛び出して、それまで不満はあれど、食べ物など、十二分に裕福な暮らしをしてたことに気づくのはまだ先の話。
<おしまい>
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