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モリの洞窟

モリエールの妄想の洞窟へようこそ

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魔物を封じし姫君
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はるか昔、英知と魔力を合わせ持った姫がいた。
病弱な父王を支え、領土を拡大しようとする隣国から国を守っていた。
ある日のこと、神殿に祭られていた魔物を打ち払う聖なる剣が盗まれた。
城の守りが弱ったその時を狙い、魔物が襲来し、姫は城や周辺に住まう人々を守るため、その魔物を自らの体を檻にして閉じ込めた。
石と化した体の中で、封じ込められた魔物は業火で彼女の精神を炙り続けた。
術を解除しようにも、姫を救える優れた魔力を持っていた者は、隣国との先の戦いで命を落としており、聖なる剣は失われたまま、一時をしのいだものの、隣国に攻め入られて国は滅び、いつしか城跡は森に飲まれ、人々の記憶から消え去っていった。

そして時は流れ、剣の使い手であり、魔術師でもある青年が、ある古びた剣を手に入れた。
古物商の主が飾り物だと苦笑いをするほど、実用には向かない切れない剣であった。
以来不思議な夢を見るようになった。
見たこともない土地の、見たこともない城。その風景に佇む女性。
まるで見覚えがないというのに、そこへ行かねばならないという焦燥感が沸き立った。
剣に導かれるように、青年は旅立った。
不思議なことに、城へ近づくたびに、夢に出てくる女性と、はっきりと会話ができるようになった。
手に入れた剣の由来、そして多くの魔術の教えを受けた。
長い旅の間に、幾夜も夢の中で語らい、博識な彼女の教えを受けながら、どこか哀しげな女性の眼差しや仕草に、いつしか心惹かれていった。
何故こうして幾度も夢に出てくるのか。自分に何をさせようとしているのか。
何度問うても、哀しい顔をするばかりで答えてはくれなかった。
すべての不思議は、城へたどり着いたらわかるだろう。
城へ着けば、夢ではなく、彼女自身に会えるはず。
それははじまりなのか、終わりになるのか。
未熟ながらも、彼女の役に立てるのならと、青年は乾いた大地を振り返ることなく歩き続けた。

『どうか私の体ごと、封じた魔物をその剣で倒してください』

城を前にした最後の夜、夢に出てきた彼女は、思い詰めた顔で、未来永劫に続く業火からの開放を願った。
青年は葛藤した。
願い通りにすれば、彼女も共に死んでしまう。

『今の貴方の力では魔物には勝てません。だから、石化した私の体ごと破砕するのです』

真摯に見つめてくる彼女の眼差しは、その願い以外には望んでいないことがありありと浮かんでいた。
石が風化し、自然と砕けてしまえば、魔物は自由を得てしまう。
もう守るべき国は滅び去ったが、それでもこの地に住まう者たちを彼女は守りたかった。
そして、孤独な時を過ごしてきた彼女にとっても、青年との語り合いは慰めであった。
ここまでついてきてくれた心優しき青年を危険に晒したくなかった。
自分よりも優れた魔力を持ちながら、青年の力は不安定であったから。
生身の体で、本当の姿で語り合いたいというささやかな願いは心に沈めた。

夜が明け、青年はいまや朽ち果てた城へと入っていった。
崩れて用をなさなくなっている城門を通り、広場へと向かう。
目覚めた後も続いていた葛藤は、石像と化した彼女の姿を目の当たりにして静まった。

「…必ず元の姿に…」

術を解除し、出てくる魔物を退治する。
身を挺して魔物を封じた彼女を救うため、青年の戦いが始まる。


ということで、塗り絵コンテストにエントリーした一枚です。
くわのこさんの線画を塗らせてもらいました。
もうもう妄想大爆発。実に長い(笑)
どの線画を塗ろうか、いやこの私に最後まで塗りきれるのか?
エントリーしているどの線画もサイズが大きく細やかだったんで、どれ選んでもチャレンジャーだと思って悩んで悩んで。
完成絵のイメージが唯一飛び出したくわのこさんの線画に決めて、描画すること30時間、何とか仕上がった次第です。
難しかったです。
青年の装備の謎解きが難しく、塗りも難しく、でも仕上がってくると楽しかったです。
個人的に、腰の装具が自分ではよく塗ったと←そこ?笑
小さいパーツだけど、金物っぽい質感が出たのがよかった。
色合いどうしようか随分悩んだ場所だったんですよね。
くわのこさんの描くキャラさんは表情が豊かなので、今回姫の愁いのお顔を生きを失くしてみようと、石化欲にかられてやってしまいました。
石の質感がなかなか思うように出せなくて、テクスチャをあちこち入れてみたり、ムラを出すべくツールを駆使してみたり、石の風合いが出るように、厚みを入れたり、細々やったけど、さすがに石にありがちな穴をあちこち入れるのは上手くできませんでした^^;
術が発動して、石化がとけるような瞬間を描こうと、ちょっとチャレンジしてみましたが、なんかホラーになったのでやめたり^^;
それから床の石の風合いも難しかったですね。
どう塗れば角度的に正しく見えるのか、読み切れなくて。
思い切って斜めに塗ってみたらいい感じだったんで、何となく漂う違和感は目を瞑って、はじめに仕上げた一面に合わせて仕上げてみました。
自分には背伸びな線画でしたが、線画のタイトル「交差する運命」について妄想するのは楽しかったです。
二人の間にはどんな運命があったのだろう?からはじまって、戦闘態勢になっている青年と姫が石化する理由づけを積み上げていくのが面白かったです。
気づけばこんな長ったらしいことに…!笑
うわっ滑りしてないといいけど><;
会場のコメントに書いた縮小文の方が気持ち入りやすい気がしますが、せっかく妄想したので、ありがちファンタジー内容ですが、ダダ漏れしてみました(笑)

以前から塗ってみたいと思っていたくわのこさんの線画を塗ることができて嬉しかったですv
くわのこさん、素敵な線画をありがとうございました^^*



【拍手お返事】

・ねふぁさんへ
妄想文を読んでくださりありがとうございますv
最近はなるべく絵を主に籠めた妄想が伝わるといいなと、セーブして妄想文を入れていたんですけど、今回縮めるとものたりなくなってしまって。
ブログだし文字制限ないし、だーっと書き込んでしまいました(笑)
石化のアイデア、ユニークでしたか^^*よかった!
いや~、また年をくってしまいました><;皆平等に迎えるものだし、愉快に過ごしたいと思いますv
そんなサプライズを@@
わー、どんなものをいただけるのかしら♪ワクワク^^

・くわのこさんへ
わー、そんな感涙って><*
いえいえそんな塗りコンはじまったばかりじゃないですか><
濃厚な妄想をガッツリキャッチしてくださって、脳内再生も大暴走も、こちらこそ塗り絵冥利に尽きまする><///
しばらく燃え尽き症に陥ったほどに、この一枚にのめり込ませてもらいました~^^
こちらこそくわのこさんから素敵なお言葉沢山いただいて幸せウフフ気分満喫させていただいておりますv
続きは、そうですね、どうなるんでしょう^^;恒例の丸投げ(笑)
絵のシーンがちょうど物語の最後と思って妄想してたんで。
でも、過酷な運命の後は、幸せになってもらいたいですねv
交差して離れていく運命ではなく、そこから一本道で共に歩いていく運命だといいなと思ったり。
青年にはボロクソになりながらも、一発逆転の大技を決めてもらって、ええ、ぜひとも麗しき本物の姫とご対面してほしいです^^*
重ね重ねありがとうございました^^

・いつも言いそびれてますが、拍手ポチポチ喜んでおりますv
ありがとうございますvv

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