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モリの洞窟

モリエールの妄想の洞窟へようこそ

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陰鬱な気持ちの今なら、書ける!
ということで、スラム街のナルシスに繋がる話を書いてみたので、続きに載せてます。
相変わらず、痛々しい内容なのでご注意ください^^;
文章力もゲフンゲフンだけど、前から書こうと思ってたので書けて一安心。

ナルシスとナルシーの関係とは。


【拍手お返事】
・ねふぁさん
もともと長く住めないとこなので、いつかは出るーって感じで暮してるんですが…。
家もずっと探してたし。
とはいえ、引っ越すのってめんどいですからねー(遠い目)無駄に荷物が…
今月中ってのはなかったので、とりあえずよかったかなあと;;
いやー、精神的にくるのが一番やせますねえ^^;
ウオーキングじゃびくともしなかったのに、この数日で2kg減りましたっす
普段どんだけ食べてるんだと言われそうな…w
まだ脂肪の蓄えはドンとあるので、バッチこいですわ~
親のところに行く日取りが、これからきびちくなることで…参った参った
ありがとうございます><;

・UTAさん
銀髪お見事でしょう!この色合いって出せないですよう><


【死がふたりを分かっても】


はじめて訪れた青い海に、はしゃいで僕らは走り回った。
波がくだけて、すーっと白い砂浜に押し寄せる。
その白く波立つ波を、濡れないように避けながら走っていく。
まるで鏡のように映る姿と同じ僕らは、猫の子のように追いかけあったり、手を繋いで息を切らすまで走って、長い旅の窮屈さから開放されてはしゃいだ。

『うわあ!』

突如転んだ弟に、繋いだ手もろとも一緒に砂に転がった。

『ふふっ』

砂から顔を上げると、おまえがにょっきりと人より大きな八重歯見せて笑う。
つられて、僕も笑う。
互いの頬の汚れ具合に笑い合った。

『…もう…砂まみれになっちゃって…』

呆れたような声を漏らして、お母さんが笑う。
潮風に長い髪を揺らしているお母さんの肩を抱き寄せて、お父さんが見守るように笑う。


ただそんな小さなことが、僕らにとっては大きな幸せだった…。
長い影を伸ばして四人の姿を照らしていた夕日は、静かに海に沈んでいった。
名残惜しく、潮風に髪を揺らし頬を冷たくしながら、その様をまばたきするのも忘れて見入った。

 
『もうすぐ国境です』

僕らが乗せられた黒い立派な車を運転している人が、マイク越しにそう伝えてきた。
ガラス越しに、帽子をかぶって操縦しているその人の姿が、後部の席からよく見えた。
運転席と後部の席の間には壁がつけられていて、分厚いガラスの入った窓がつけられている。
綺麗な布のふかふかなシートにも、長い時間乗っている間に慣れてしまった僕らは、靴を脱いで、物心ついたころからよく二人でやっていた鏡遊びをはじめていた。

『おじいさまの前では、行儀よくするのよ』
『はーい』

二人顔をそろえてまったく同じに喋る。
そして目を合わすなり、くすくすと笑い合った。
今のタイミングはまったく同じだった。
ただそれだけのことが妙に可笑しくて笑ってしまう。

『もうふざけてばっかりなんだから…』

はじめての長旅に緊張してるのか、お母さんはこの旅がはじまってから小言ばかりだ。
これから違う国に住むお父さんのお父さん、つまりおじいさんに会いに行くのだ。
病気のおじいさんを見舞うために、もう長い距離を車で走り続けている。
お母さんも会うのははじめてらしくて、僕らは何をしていても怒られてばかり。
肩をちぢこませて、罰の悪い顔をしてみる。
ちらりと隣に座る弟を見ると、まったく同じくしかめた顔をしていて、互いの顔に気づくとつい笑い声を上げた。

『ね、あなた。モネタにはどのくらい居る予定なの?』
『うん…。親父の具合次第かな…。でも長居はしない。国を捨てた私が、堂々と滞在はできないからな…』
『…お父様に進言してみたらどう…?これきりではなく、自由に訪問できるように。あなたにとって大切な人なのだから…』
『…国が鎖国しているのに、それは無理だろう。今回は極秘という扱いなのだからな…』
『だって、モネタを仕切るユノー社の社長なのでしょう?』
『…経営はすでに弟がしているという噂だ。親父の権限がどこまであるのかさえ不明だ。…ましてやもう長く臥せっているという…』
『…国に残らなくていいの?』
『…いいんだ。私はおまえたちと生きることを選んだんだ』

お父さんが違う国の人なのは、その顔の造りや髪の色から自然とわかっていた。
お母さんも街の人も皆、薄い色の瞳と髪をしているのだ。
母似の僕らは、あまり父には似ていない。
共に薄い翡翠色の瞳に、白っぽい髪をしていた。
色素が薄いせいなのか、眉毛がどうしても生えてこなくて、お母さんは自分に良く似た箇所をいつもどうにかならないかとばかりに撫ぜてくる。
撫ぜる効果はまったくないけど、別に変な顔には思えない。
ふと弟に目線を向けると、同じことを考えているらしく、コクリと頷きあった。
僕らは双子で生まれたけれど、まるで今もひとつの体に居るみたいに、考えていることがわかる。
お父さんとお母さんが声をひそめて話すのを邪魔しないように、二人身を寄せ合うと目を瞑った。
一度もあったことのない父方のおじいさん。
お父さんの話に、期待と不安が押し寄せたが、心地よい眠気にそれは引いていった。
皆で行くのだもの。
大丈夫…。


走り続けていた車は、徐々に減速し停車した。
そして、扉の開く重そうな音が聞こえてきた。
車は進み、再度停まる。
開いた扉が閉まっていく音が、今度は後ろから聞こえてきた。
運転手が外の誰かと話す声が短く聞こえ、そして車はまたゆっくりと走り出した。
眠りに落ちた体は、見たい興味があったくらいではビクとも起きず、寄せている弟の温かさに、意識はまた深みに落ちていった。

どのくらい時間が過ぎたのだろう。
道が悪いのか車の揺れが大きくなって、眠りから目が覚めてきた。
窓の外は光もない暗闇で、眠る前にはつけられていた室内のライトも消されていた。
目をこらすと、向かいに座るお父さんとお母さんも肩を寄せ合って眠っている。
弟と繋いでいた手を放して、体を起こすと、瞼を擦った。
いつも朝まで起きないところを起きたので、目がなかなか開かないのだ。
弟ももぞもぞと、すっぽりとかぶっていた毛布から起きだして、同じように顔を擦っている。
ガタガタと揺れることに、それぞれが近い窓から外を覗きこんだ。

『ひび割れ凄い…』

かなりの速度で流れていく景色を目をこらして見ると、道路がひどく痛んでいるのがわかって目を見張った。
そして道路回りの景色も、灯りがないだけでなく、見たことがないほどに建物が壊れている。

『なに、この街…』

これはお父さんに聞かなくては。
そう思って窓から顔を外し後ろを振り返ろうとした時、ボン、という音と悲鳴が運転席から同時に上がった。
立ち上がり、前の窓を見ると、赤い血がべったりとガラスについていて、運転手がハンドルに臥しているのが見えた。
けれどその姿はすぐに黒煙で見えなくなった。

『お父さん、大変だ!!』

弟と二人で、この異変にいまだ目を覚まさない二人の体を揺すった。
仕切った壁から煙が後ろにも入り込んできて、煙にむせながらも呼びかけた。
車は速度を落とさず道路を蛇行する。

『お父さん!!お母さん!!起きて!起きて!』

必死に呼びかける僕らの声に、両親はくったりと体を揺らすばかりで、何度声をかけても目を覚まさない。
蛇行している車が道路の壁にぶつかって、立っていた僕は弾き飛ばされて両親の間に臥した。
車の低い天井に打った頭が痛くて、両親の体にしがみつくのに必死になった。
ギギギと車の側面が壁に削れて、暗闇に火花が散って、壁から離れた時、後部のドアが外れて落ちていった。
狭い道路を今度は反対の壁に車はぶつかる。
ギギギギ
嫌な音と火花を散らして、はじかれたように車はさらに蛇行する。

『危ない…、こっちに…っ』

壊れて無くなったドアのそばで、弟が動けずにシートに掴まり風に煽られているのが見えて、必死に手を伸ばした。
ガタン。
道路の凹みに車がバウントする。
柔らかいシートに、弟の小さく華奢な体も跳ねた。
車は蛇行し壁にぶつかり、弟は呆気なく車外に吸い込まれるように暗闇に消えていった。

『うわああああああ』

僕の片割れ。
生まれてずっと離れたことのない僕の弟。
驚きと恐怖に見開いた瞳の色が目に残った。
助けなくては。
後を追わなくては。
痛んだ路面に車は激しくバウントし、迫ってきたゆるいカーブを曲がれずに、車は路外へと転落していった。
高いところにあった道路から飛び出した車は、下にあったガラスに囲まれた建物を巻き込んで壊し、炎上した。
赤い炎と煙が、車外に飛び出た体にたどり着き舐めて行く。
薄れゆく意識に、痛みは存在しなかった。
弟を助けようと伸ばした手は、折れて鋭利になった木の枝が貫いていた。
手を繋ぐことはもう叶わない。
無念に零した涙も炎が覆って、意識は薄れていった。



『すぐに消火を!』
『なんてことだ。世界樹の根に転落するなんて…』
『樹木医を手配しろ』

数人の足音が響き、あわただしく作業をはじめるやりとりが聞こえてきて、落ちていた意識が浮上した。
もうもうと上がる黒煙の中、近づいてくる人影があった。
目には哀れみの色が浮かんでいた。
けれど、どこか笑むような口元をしている。
その顔の造りは、どこかお父さんに似ている。
この国の人だからだろうか。

『…あなたが戻ってくるからいけないんですよ…』

誰に言っているのだろう。
ささやく声は誰に…。

『この国は誰にも渡さない…』

声にのって届いたのは殺意。
このままでは皆が。僕の大事な家族を守らなくては。
跳ね起きたけれど、ふわりとした何か不思議な感覚に思わず背後を振り返った。

(!?)

大きな木の幹と共に、黒コゲになっている自分の体だったものがそこにあった。
自分ですら自分と思えないくらいの姿になっているが、それが自分だと心が認識する。
隣には同じく焼かれたお母さんの姿がうつ伏せに転がっている。

(お父さんは?)

煤に汚れ血だらけのお父さんを、人が取り囲み治療をしているようだった。
お父さんは命をとりとめたのだろうか。
哀しみに気が狂いそうになりながらも、この淀んだ殺意に、弟を探さねばならないと決意した。
見つかれば殺される。

僕の片割れ。どこにいる。
無事なのか?どうか無事でいて…。おまえだけは生きていてほしい。
思い深めるうちに、立っているだけだというのに視界が急に広がった。
煙を上げるこの場所から、360度の視界が手にとるようにわかる。
荒廃した建物に、怯えたように人が何人も居て、息を潜めるようにしてここを見つめていることも、まるで傍に居るように感じる。
はやる気持ちを抑えながら、弟の姿を探した。
弟が落ちたのは、車がここに転落するほんの少し前なのだ。
わずかな距離であるはず。
この人出で辺りを探されると、すぐに見つかるほど近い場所であるはず。

ピク。
視界にひっかかった馴染みある姿に、すでに空気となったはずの体が震えた。
風のように、ふわりとその場に移動する。
まるでボロキレのように、埃と血に汚れて道路下の流れのほとんどない川辺に弟は転がっていた。
上を覆うように伸びた枝は折れて、木の葉が散らばっている。
この木がクッションになったのだろう。
揃いの服はあちこち破け、手足は擦り傷だらけで、どこかにぶつけた額には血が流れた跡もあるが、命を留めているのがわかって嬉しかった。
どこかに移動しなくては。
起こそうと近づくが、もう自分には起こす手も持ち合わせていない。

起きろ。起きるんだ。
ここから早く逃げるんだ。

かけた声は音にはならなかった。

こんなにそばにいるのに。
おまえだけでも助けたいのに。
手があれば、ひきずってでもここから遠く連れて行くのに。

起きろ!

だらしなく開いた口はそのままに、弟は突如目を開いた。
感情を映していない翡翠の瞳が空を見据えている。

(!?)

弟の目を見ていたはずなのに、一瞬にして地面に臥している視界になった。
木の葉を浮かべている水たまりが目の前に広がっている。
これは弟の視界。
そう理解すると、体を無理やり起こした。
重なっている弟の心が悲鳴を上げるのを感じた。
痛みを自分は感じない。
迫る危険から、何としても遠ざけるために、痛がり悲鳴を上げ続ける弟の声を無視して歩き出した。
車から反対の場所へ。
今にも崩れそうな弟の体に重なりながら、無理を承知で歩みを進める。

逃げろ。
どこでもいい遠くへ。

かつて聞いたことがないほどに荒い弟の息に心痛めながら、重なりが外れそうになる体を、一歩また一歩と進める。
半ば気を失っている体は、踏み出す足すら満足に地面を踏みしめない。
ガクリと膝が落ちては、支えることもできずに、弟は前にのめって倒れた。
ふくよかで柔らかな頬は、地面に傷つき血が滲む。
朦朧としている弟の体に、意識を重ねては無理やり起こし、強制的に歩かせ続けた。

逃げろ。
少しでも遠くへ。
誰もいないところまで。

届かないとわかりながら、心で強く語り続けた。
重なって歩くことが次第に難しくなってくる。
意識が遠のきはじめる。
重なりがはじけても、弟は痛む体をふらつかせながら先へと歩いていく。
その後ろ姿を見送りながら、僕は力を失って空に融けていった。

さよなら…愛してる…

弟に一度も言ったことのない一言を、心に浮かべて。



ということで、こんな妄想は如何でしょう。
このくらいの不思議は世界樹なら起こしてくれるはず!
ちなみに、道路下にある世界樹の根ですが、モネタではあちこちに根が伸びてるという話なので、確認してる地上に出ている根はガラス張りの施設で覆い、立ち入り不可の場所に指定されてる、と脳内で思ってるだけです。
なので、ナルシスが手鏡を持って外国へいくと、世界樹の影響のない場所ではナルシーがいなくなって、大変なことになるらしい。ギザはもろ影響のある場所だったから安心のナルシータイムができましたとさ。

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