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モリの洞窟

モリエールの妄想の洞窟へようこそ

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『…もしかしたら…あなたも天使だったかもしれない…』


高い、高い空の上に、天使の国がある。

人の目では見えない、大きな雲の上に、天使の暮らす館があるのだ。

そこから、いつも人の世界の幸せを願っているのである。


今日もたくさんの天使が、下で暮らす人々のため、せっせと働いている。

館のある大きな雲から、たくさんの天使がのった小さな船のような雲が四方へ流れていく。

少しオデコの広い見習い天使も、その船のひとつにのりこんでいた。

大事そうに、仕事に使う『雪降らし装置』を両腕に抱えて。

小さな顔は緊張で張り裂けそうなくらいであった。

何故なら、前の日にうっかり氷を下界に落っことしてしまって、上官の天使さまにお小言をもらったばかりなのだ。

見習い天使はため息をもらすと、まだジンジンと痛むオデコをさすった。

少し釣り目の上官の天使さまは、お小言のたび、見習い天使の少しだけ皆より広いオデコにデコピンをするのだ。

(なんで私にだけ、デコピンするんだろう…)

他の子には、そんなことをしない。

もちろん、何度も同じ失敗を繰り返すような子は自分以外にいないのである。

オデコの広い見習い天使は、またひとつ深いため息をついてしまうのであった。


そうしているうちに、今日雪を降らせる目的地についた。

雲の船から、大きな雲にのりうつると、運んできた氷を上官の天使さまの指導のもと、見習い天使たちが運び出していった。

配置につくと、皆、各自持っている『雪降らし装置』に氷をセットして、クルクルと上についているハンドルを回した。

クルクルクル。

カキ氷の器械のような装置の下から、ふわふわした雪が下界へと舞っていく。

日暮れのオレンジ色の空に、そのふわふわした雪が降っていく。

差しかかる西日に溶けずに、見習い天使たちがいっせいに降らせる雪がきらめいて、オデコの広い見習い天使は、あまりの美しさに見とれてしまうのだ。

「手が止まってるよ」

「きゃああっ」

突然後ろから間近に届いた声に、オデコの広い見習い天使はビックリして、思わず持ってた『雪降らし装置』を落っことしてしまった。

「あああーーーっ!!」

自分に羽があることを忘れて叫び声をあげてしまう。

途端に後ろから何かが飛び出して、オデコの広い見習い天使のゆるくウエーブのかかった金髪を一瞬吹き上げていった。

その人は落ちていく『雪降らし装置』をキラキラした光を引きながらキャッチした。

「相変わらず、ドジだね。オデコちゃん」

自分の体とほぼ同じ『雪降らし装置』を両手に下げて、ユラユラと浮かんできて、オデコの広い見習い天使にニヤっと笑って言った。

「だって、急に声かけるんだもん」

星の形をした黄色い顔の星の子であった。

天使ではないが、天使の国に属するものたちである。

「星の子はここで何をしてるの?」

オデコの広い見習い天使は、この面識のある星の子と外で仕事をしているときに会うのははじめてであった。

彼らはいつも天使の国にいて、とくに日暮れの後は、明るく空を照らしたり、伝言を届けたりしているのだ。

ちなみに天使も星の子も固有の名前はない。

上級の天使なら名を持つことを許されるが、その他の天使は役職で呼ばれるしかない。

階級によって衣装が違っていたり、天使といえど、皆、色んな髪型、髪の色をしているので、区別できていた。

星の子はパッと見、どの子も同じ星の形をした顔をしていて区別はつかない。

よくよく見ると、着ている衣装の模様が微妙に違うのだけど、暗い星空にかかる姿は眩しくて、区別はしづらかった。

けれど、オデコの広い見習い天使はこの子が知ってる星の子だとすぐにわかった。

『オデコちゃん』

そう呼ぶ星の子はたったひとりだけだからだ。

たまたま、上官の天使さまにお小言をうけて、裏庭でベソをかいていたのを見られてしまったのである。

なぐさめてくれるのかと思いきや、オデコが赤く腫れあがっているのを面白おかしく大笑いしたのだ。

以来、この星の子は会うたび、

『オデコちゃん』

と呼んでからかうのである。

ついつい、下唇を突き出して、星の子を見上げてしまうオデコの広い見習い天使であった。

「やだな~。ちゃんと拾ってあげたのに、オデコちゃん」

「あなたが声をかけなかったら落とさなかったもん」

オデコの広い見習い天使は『雪降らし装置』を乱暴に奪い取ると大事に抱えた。

「もう夜が来るから、こんなとこで遊んでちゃ駄目でしょ、星の子」

「残念でした、ボクは仕事でここに来てるから大丈夫」

「仕事?」

「うん、そう! ちょっとその器械を置いてくれるかい?」

「これ?」

言われるまま、オデコの広い見習い天使は『雪降らし装置』を転がっていかない内側の雲のところに置いて、
星の子を振り返った。

途端、星の子に手を掴まれて、

「では、一名さま、ご案内」

「えっ??」

「ああああーーーーっ」

流星のごとき速さで、仕事場の雲から飛び出していった。











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コメント
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小説がやってきちゃったv
映画のイラコンでこさえたお話をようやく小説にしてみました。
天使ちゃんのハラハラストーリー 楽しんでもらえると嬉しいですv
ってか、最後まで書けるのか、心配ですが…。
この小説はエターナル・フォレストにUPしたんですが、考えてみたら、サヴァ目的の方ばかりなんで、ここにもUPすることにしました。
貼るの大変だってです。
ここってコピると行間狭くなっちゃう不思議なとこなんで(苦笑)
きまぐれに書いていきます。
モリエール 2008/06/21(Sat)00:53:19 編集
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