モリの洞窟
モリエールの妄想の洞窟へようこそ
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向かって、左がルイ、右がカオルですv
宇宙飛行士訓練学校の制服姿です。
相変わらずこのアニメが大好きですね~
サヴァで漫画を描けないかなあと、こんなん出ました。
カオルの回想にしか出てこないルイなんですが、妄想美味しい。
アニメ見てない人には、なんじゃこれな漫画です^^;
ライバルな二人が同室なら、こんな妄想をしちゃうのは仕方ないですよね。
続きに、カオルから見るルイの回想を、別宅で書いてる長編妄想小説から抜粋してみました。
5~6年は前に書いたものです。もうこんな言い回し書けそうにない…うへえ
畳んでおきます。興味ある勇者な方は読んでみて下さい。
舞台は宇宙開発が盛んな時代。
すでに地球は住めなくなって、人類は銀河系へと生活圏を広げている時代である。
楽しい修学旅行が一転、宇宙嵐に襲われ、避難シャトルに乗り込んだ7人と1匹だけが遭難し、かつての地球とそっくりな星へたどり着き、サバイバル生活の果てに帰還するまでのアニメです。
妄想小説は、助けにきたと思っていた輸送船が、脱獄犯に乗っ取られていた船で、取り合いの果てに、遺跡のように森の中に数百年は放置されていたらしい宇宙人の船に、輸送船が爆発して突っ込んで両方とも使用不可能になった後の話です。
こうやって書いてると、すごいことになってるですね^^;
遺跡を目指して歩いていた三人の前に、ようやく数日前に見たのと同じ、遺跡の哀れな姿が広がった。
煤に汚れた輸送船の船体が突き刺さったままとなっていて、望みを砕くあまりな光景に、シンゴは目を瞑ると息を深く吐いた。
これが今の現状なのだ。
心が少し静まると、シンゴは遺跡と輸送船の隙間から中に入っていった。
チャコ「崩れるかもしれへんから、あんまり奥には入らんといてや~!」
返事がないことに、チャコはカオルに目を向けた。
カオル「オレは大丈夫だ。ここで待ってる」
チャコ「ほな、うち行ってくるわ」
言い終えると、チャコはシンゴが入っていった隙間をくぐっていった。
カオルは一人になって、目の前にあるオレンジ色の船体を疲れをためた気だるい顔で見つめた。
ほんの数日前まで、この船は宇宙を航行していたというのに。
今やそう飛んでいたものとは思えぬ哀れな姿を晒していた。
カオルは船体に歩み寄ると、痛んだ船体を労わるように手で触れた。
カオル「…お前と…一緒に行きたかったよ…」
成層圏を越えて、宇宙へ。
カオルはオレンジ色の船体に、今は亡き友の面影を重ねてつぶやいた。
ほんの少しの時間でしかなかったが、船を操縦した時は、まるで手放した夢が手の中に戻ってきたかのように思えた。
目を瞑ると、今もその時のことを色鮮やかに思いだせる。
体に重く響き渡るエンジンの振動や、操縦桿の操作に上昇して、広がっていく景色…。
暮している島が小さくなって、はるか彼方まで遠く視界が広がっていく。
その高揚感。
カオルは目を開けて、もうそう感じることはできなくなった残骸と化した船体に、知らず浮かべていた笑みを、ため息とともになくした。
『お願いごとでもしているのかい?』
訓練船の船体に手の平をつけて瞑目していたカオルは、背後からの声に無愛想な顔を向けた。
『ああ、からかっているつもりはないよ。ボクもしようかなって思っていたところ』
宇宙服に身を包み、ヘルメットを片手に抱えたルイは、首を傾けて笑顔となった。
人懐こい、誰もが好意を持つ丸みのある笑みだ。
けれど今日は最終ミッションの日で、ルイを一番のライバルとしているカオルにとっては、その笑顔に眉をひそめてしまうばかりだ。
一年近く同じ部屋で過ごしてきて、ここまで馴れ合わない所作を向けられて尚、平然と話しかけてくるルイの気が、カオルには理解できなかった。
今回のミッションで選ばれて、更に上に進めるのは、たったの一人だという。
ならばその一つしかないという席に、ルイを差し置いて座り込むだけだ。
勝敗がついた後に、自分がどう態度をとるのかさえ、カオルには考える余裕はなかった。
これから行われることを完璧にする。
それだけだった。
『カオルでも、緊張するんだね』
『…バカにしてるのか…?』
カオルの冷ややかで一触即発な雰囲気にもルイは動じずに、目を細めた。
『違うよ。同じように緊張してるんだって思ったら、何だか嬉しいなって』
『お前こそ、緊張とは縁がないくせに。からかうのはよせよ』
カオルは思わず口調を荒げた。
ルイと話をしていると、徐々にイラ立ちが増してくるのだ。
穏やかに笑うその顔を、自分の言葉で汚してみたいような衝動が押し寄せてくる。
『そんなことない。これでもゆうべは寝れなかったんだ。航行の無事を祈れば、落ち着いて操縦できるような気がして』
眉根を寄せて苦笑する、ルイの思いがけない言葉に、カオルは片眉を上げた。
『集合!』
教官の入室に、最終ミッションに参加する一人が声を上げた。
『おっと、時間切れだね』
『…航行の無事とやらを祈らなくていいのか?』
『それはカオルが願ってくれてるだろ?もうする暇もないし』
『ルイーっ!』
『今行くーっ!』
カオルと違い、ルイはライバルである立ち位置の、他のメンバーと仲良くやっていた。
かけられた声に、ルイは明るい返事と手を振り返す。
『行こう、カオル。ボクは負けないよ。もう少しで夢への道が開けるんだからね』
オレだって、負けられない。
体の向きを変えて、走り出したルイの後ろを、カオルは唇を噛みしめると、ルイを追うように走った。
いつも前を行く、この後ろ姿を見るのは今日までだ。
いつも僅差で退けられ続けた、この悔しい気持ちは今日こそ…。
…もし、航行の無事を願っていたら、あの時あんなことにはならなかったのだろうか…。
願っていたのは、自分が一位になることだけだった。
最終ミッションを通過して、更に上に行くためにだけ、自分のためだけに祈っていたのだ。
手の中に残されたもの。
それは姿も形もない不確かなものだ。
幼い時に、父と交わした約束だけが残された。
夢を叶えれば、心の中で父が笑ってくれるような気がして…。
あと少しで、それは色をなし、形をかたどっていくはずだった。
願いも、叶える気持ちも、約束もすべて。
ルイとともに消えた。